2019年5月16日木曜日

浮世絵と色

20130214
 虹は何色に見えるか?前前々回のブログに書いた続きですが、日本では一般的に七色と言われています。皆さんはもちろん現実的に虹を見たことはあるでしょうね。七色を数えられました?
 
 はっきりした明瞭な(まるでプリズムを通したような)虹ってけっこう少ないんですよね。ぼんやりしてたり、薄くて消えかかったりでなかなか七色を認識することは難しいんですよね。
 
 比較的きれいにとった虹を見てみましょう。
 そと側から、の七色が認識できましたか。紫が薄れて確認しづらいですね。
 
 さて日本の豊かな自然は虹だけでなく万物がこのような色とりどりの鮮やかな色で覆われています。それあわせて古代から草木などでカラフルな色染めで日本人は着飾ってきました。
 
 でも、色によっては自然染料が希少で高価な色もあったのです。濃い赤とか紫なんかはそうです。古代中世の庶民なんかはだからそんな色で着飾れません。一番簡単なのは木の皮、渋で染めた褐色~茶色~黄色っぽい色です。こんな色で身を包む人が多かったんでしょう。なんか土嬢や当時のぼろ家と似た色ですね。それに溶け込む土着民というところですね。
 
 やっぱり色らしい、紅色や縹色(鮮やかな青)で着飾りたいですよね。でも庶民は布の素材も麻とか苧(カラムシ)ですから染着も難しいですね。
 
 この状況は江戸期になると違ってきます。木綿が普及し、藍栽培が盛んになるにつれ、藍染め(浅葱・薄い青~青~紺・藍色)が大流行します。庶民は作業着に至るまで藍染を着ました。染物といえば紺色が一般的でした。当時染物屋は紺屋と言ったことでもわかりますね。江戸の町は紺色の着物であふれかえっていたんです。
 
 浮世絵も江戸後期になって『風景画』が描かれるようになると、当然風景の遠景、空や海、それらが大部分を占める青色系の色が多用されるようになります。鉱物質の青や当然藍も使われたんでしょうけど、微妙なグラディエーション(濃淡の差)はモノたりない感じがありました。
 
 そこへ輸入で入ってきたのが『ベロ青』・ベルリンブルーです。これは優れた顔料でした。北斎の美しい青はこれによって表現されました。
 広重の青も同じです。
 風景画にいかに青が大事かということがわかりますね(空も海も空気さえも青だからなぁ~)
 また下の絵の人物を見ても紺色(藍)が庶民の服の主な色というのがわかりますね。
 
 ところでこの輸入物の(長崎を通して入ってきた)ベロ青、いったいどのようにして作られたと思います?
 こんな美しい青を発色させるのに原料は、ななな・なんと真っ赤な牛の血、驚きですね。作り方を簡単に紹介しておきましょう。
 
 乾燥した牛の血液を炭酸カリウムと焼いて水で浸出し,得られた溶液に硫酸鉄(Ⅱ)とミョウバン溶液を加えて沈殿させ,煮沸後,塩酸を加えて 得 る 方 法 を 見 出 し た。
 
 化学に詳しい人なら知っていると思いますが、この方法で作られる色のついていない結晶(発色の前段階)を赤血塩と言います。納得!

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