平城宮・大極殿
徳島市図書館から投稿しています
この日は奈良盆地は最高気温35℃、残暑とは思えぬ猛暑日であった。しかし方1km以上の平城宮はさえぎるものとてない原っぱである。時々涼しい風が吹きすぎてところどころに咲いた萩とともに秋を感じさせる。
その広い原野の北方に建つのは平城宮・大極殿である。平日のためか、この暑さのためか、見渡す限り人っ子一人いない。奈良市の只中にあってヒト・モノが存在しないこの静寂さは、何か時空の割れ目に入って8世紀初頭の平城宮に迷い込んだような不思議な感覚にとらわれる。
「空と大地はこんなに広かったのか!」
ごちゃごちゃしたものに囲まれた生活では味わえぬ爽快さに、思わず深呼吸をする。
近づくにつれその大きさを増す。
中は見学者は私一人であった、警備員、ボランティアのガイドが何人かいた。
高い天井に描かれた四神の図、天皇の御座所の高御座などはあらかじめ知っていたので
「なるほどなぁ」
と感心しながら見るだけであったが、私の注意を引いたのはこれ!
欄干についているきれいな宝珠様のものである。気になってガイドの人に聞いた。
「これはそもそも素材は何でしょうか、ガラスの玉、あるいは水晶のようにも見えますが・・・・・」
「これは七宝焼きで作られた玉で作られています。」
「そうですか。光に反射してずいぶんきれいですね。色別の玉というのも美しい配置ですね。この色の違いは何か意味があるのでしょうか。」
「色の種類を見てください。五色が繰り返されていますね・・・・・・」
ここまで聞いたときピーンときた。果たして・・・・・・
「陰陽五行思想に基づくものです。黄・朱・青・黒・白、の五色です。」
広い縁を回って見ると四方の隅のそれぞれの玉の色は、朱・青・黒・白になっている。これは方位に関係している。朱は南、青は東、黒は北、白は西である。
それじゃあ黄がないじゃないか!と思われますね。黄の位置もちゃあんとあるのです。それは真ん中、真ん中に鎮座するのは天子。それだから中国では(日本はちょっと違う)黄は天子の色、まあ、禁色ですな(日本では濃い紫、緋なんかがそう)
このそれぞれの色、そして方位はまたある想像上の動物が配されている。
朱⇒南⇒すずめ・朱雀
青⇒東⇒竜・青龍
黒⇒北⇒亀・玄武
白⇒西⇒虎・白虎
それでは中央に位置する黄色はなんと思います。日本では一般的でないが陰陽五行の本場中国では
『麒麟』
なんです!これがそう
ちょっとユーモラスな感じがしますね。スフィンクスに似てるようだけど、あの麒麟ビールのラベルの動物に確かに似てる。
大極殿の見学を終わって次は約1km南、すなわち朱雀の方向の朱雀門に向かう。
延々原っぱを歩く。
次回は朱雀門です。
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