2019年5月25日土曜日

江戸は夢か その2

20131220

江戸の湯屋を詳しく見てよう
 
 今からちょうど200年前の江戸、文化10年、皆さんのご存知の西暦で言えば1813年、裏長屋に住むご隠居の爺さんと一緒に町内の湯屋に入りましたが、どうでした?入るなりどぎつい光景に出くわし面食らっているんじゃないでしょうか。しかし、江戸の営業権を得て(江戸の場合湯屋の株を取得することになる)経営している湯屋はみんないたってまじめのものです。今日のトルコ、あ、違った!今はソープですね、に類する性風俗の店ではありません。
 
 江戸の初期、寛永年間(1650年ころ)までは確かに性風俗っぽい風呂もあり、性サーヴィスする湯女もいましたが、以後厳禁となり今日(文化年間)に至っております。じゃあ、何で男湯にいきなり男女が裸でいちゃついているのよ?と疑問も感じるでしょうが、当時の粋な男女のコミュニケーション位に思っていてください。
 
 そもそも混浴が基本の江戸の湯屋です。裸で男女が入れ込んでいるのは当たり前。今のように拒否的な反応は男女ともありません。もし嫌がる女性に不埒な行為をすれば当時でも糾弾され、みんなにつまみ出されました。おそらく再びこれないでしょう。
 風呂がすいているときならば、夫婦ものとか、好意を持った男女が男湯(女湯ではない)にいて、背中を流したり、毛剃を手伝ったりするのは当たり前、ちょっといちゃついていようが別に目くじら立てるものではないのです。
 男女が同席している江戸の湯屋の表面だけを見て、卑猥な時代だと錯覚しないでください。 
 
 では、見ていきましょう。ご隠居さんの行く時刻の朝は人少ないので、ちょっと説明がしにくいので人が混む夕方にもう一度、ご隠居さんと一緒に入ります。
 
 夕方混んでいる湯屋です。
 
 
 大勢が混み合っていますが、まず手前から見ていきましょう。さすが大勢の男客がいるときは洗い場には裸体の女性はいませんね。でも見てください。手前の床がゴザの脱衣所には着物を着た女性がいます、これは右隣の男の女房です。お互い夫婦の子どもを抱いていますね。これは旦那が子供を風呂に入れる役目で、女房はその子供を脱衣所で受け取って体を拭いて着物を着せる役でしょうね。
 
 江戸では夫がこのように入浴の子どもの世話を焼きました。洗い場を見てください。子どもを洗っている父親が見えていますね。
 
 洗い場は現在のようにタイルではありません。板敷です。中央に向かって傾斜しています。そして中央に溝があり、そこから排水されます。
 横から見た断面図です。
 現在だと洗い場はシャワーやカラン(温水の蛇口)がありますが、江戸の湯屋にはそんなものはありません。じゃあ洗い湯はどうするのか?お湯はすべて風呂桶で供給されます。桶の湯で体や髪を洗い、桶で汲んだ湯でかけ湯をしたのです。洗うのには何杯もの桶の水がいりますね。じゃあ、自分で勝手に汲んで、自由に使えたかというとそうじゃない。湯屋の使用人がいて汲んで客に渡すのである。
 
 図の①に見えるふんどし姿の男が湯屋の使用人で大きなかけ湯の槽から一杯づつ汲んで渡します。下図にみえるのが汲んで置いてある桶です。客はこれを受け取り、洗い場で使うわけです。
 
 上の図ではガキが桶をかぶって遊んでいます。今も昔も変わりませんね。もっとも今は木桶がプラスティックのケロリン桶に変りましたが。
 
 ところで最初の図の②の洗い場の男、気になりますね。見ると右手に何か石のようのものを持っていますね。これなんだと思います。
 
 「う~~ん??? 風呂場で石といえば・・・わかった!軽石で足の裏のがさついた角質部分を削っているんだ!」
 
 と、普通は思いますわなぁ。でも違います。これは二つの石を使い一方は下に置き、もう一つはこれを打ちつけて(あるいはこすって擦切らす)使うのです。削る行為ではありませんね。下図を見てください。
 
 これは石を打ちつけ、あるいは擦切らせて無駄毛を切っているのです。今はこんなことをする人もいませんので忘れさられましたが、江戸の湯屋では身だしなみのため普通に見られる行為でした。
 
 次にいよいよ湯船に入りましょう。入り口は③です。柘榴口と言います。下方に狭く入り口が空いているので屈んで入らねばなりません。なんでこんなことをするかというと、できるだけ開口部分を狭く下にとることによって暖かい浴槽室の熱気が逃げなくするためです。
 
 柘榴口をもう少し丁寧に見てみますとこんなようになっています。入り口はなかなか豪華な装飾が施されていますし、上は破風の屋根モドキになっています。装飾の絵は唐獅子と牡丹ですね。
 
 柘榴口を入ると中はこんな風になっています。
 
 これが混浴になると、こんなことに・・・・・・・みなさん、おおらかですね。一人の男は風呂まで来て物思いにふけっています。こんなたのしそうなところで物思いとは、恋煩いでしょうか。
  さて湯屋の一階はだいたいご紹介が終わりました。次は最初の図にかえり、④の階段を上がって湯屋の二階に向かいましょう。二階については
 
次回のブログにつづく
 おっと!忘っせるとこでした、女風呂の方もちょっと覗いておきましょう。やま爺さんの町内の風呂は男女別湯ですからね。
 

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