江戸の町には、よくまあこれだけ商売があるもんだ、というくらい多様な商売があった。そしてその多くは行商や露天であった。
江戸の商売の特徴は小資本どころか、ほとんど資金を持たない、いや無一文の乞食に近い人でもなにかしら商売できる道があった。
たとえばこれ、胸に男の上半身の張りぼてを置いて、いかにも男がおばあさんを背負っている格好にしたもの。よく見ると女ひとりである。、歳が行った女性がこれで金を稼いだ。
言うセリフは
「え~~~、親孝行でござい」
といって孝行息子が老婆を背負っている態にして、それに感心した人から金を貰う(恵んで)。金をやる方ももちろんこんな子供だましは承知の上。苦笑いしながら幾ばくかの金を出した。
江戸の町と同じように私が小学生だった昭和30年代前半はワイの町にも子どもが喜ぶ行商があった。
ある日、校門をでるとすぐ前で行商の店を開いていた。江戸時代と変わらぬ商売である。
これは飴細工の行商である。さすがにこの図とは違い洋服だったが出店はこんな感じだった。
一個10円で、自分が望むものを熱で柔らかくした飴で形作ってくれた。
私は自分の干支のウサギを作ってもらった。出来上がると棒に突き刺して手渡してくれた。
シャボン玉売りも学校の行き帰りの大道で店を広げていた。このように歩いては売らなかったが、ワイの子どもの頃まであった行商である。
ワイの小学校の時に大流行して、校門前で店を広げて売っていた商売がある。ヨーヨー売り、である。
ところが江戸商売図絵を見て驚いた。この時代になんとヨーヨーがあって行商しているではないか。
ほとんど同じ構造だったが、陶器製で菊の模様がついているのが違うだけである。
学校の行き帰りの行商人も面白かったが、祭りの露店も面白いものであった。江戸商売図絵を見ているといまとそう変わらぬ子どもの喜びそうな露店商売がある。
今は射的というのだろうか。ライフルがこの時代は吹き矢となっている。的に当たればろくろ首や河童などが飛び出す仕掛けになっていて面白い。
江戸時代にしてこんなモダンな見世物があった。大からくりと書いてあるが、ワイら子供の頃に夜店で見たような「のぞきメガネ」あるいは「のぞきからくり」と同じものであった。
レンズや鏡を使って不思議な(遠近感や立体感などのリアルさ)雰囲気を醸していた。風景や芝居の名場面をみせた。
こんなものがあったら孫に買ったやりたいものである(その実、孫などいないが)
素材は細竹と木材でつくられている。サイホンの原理を利用した水からくりのおもちゃである。
100円ショップは潤沢な小遣いを持たぬ子どもにとってはおもちゃ屋やファンシーグッズの店と同義語である。
江戸時代にも100円ショップがあったといえば驚くが、何でも均一の店19文屋である。すべての商品が19文、江戸の百円ショップである。
張り紙は「なんでも、よりどり」と書いてある。
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